写真付きでわかりやすい「広葉樹」「照葉樹」「針葉樹」の違い!特徴や用途についても解説

広葉樹

木は、我々の生活において欠かせないものの一つです。古来から住宅や家具、文房具、紙、燃料など、多くの場面で使用されてきました。国土の2/3を森林が占める日本において、木は身近な存在であるため、その種類や特徴について知っておくことは大切です。そこで、本記事では広葉樹、針葉樹、照葉樹の3つのグループについて、その特徴を説明していきます。

はじめに

はじめに、ざっくりと言うと、針葉樹は葉が細い、広葉樹は葉が平たいです。

広葉樹はさらに2種類に分けられ、秋に紅葉し、葉を落とすのが落葉広葉樹、一年を通して緑の葉をつけるのが照葉樹(常緑広葉樹)です。

さらに詳しく知りたい方は、以下文を読み進んでください!

針葉樹・落葉広葉樹・照葉樹の大まかな分類

ただ、たとえばイチョウの木は葉が平べったいですが、広葉樹ではなく針葉樹の分類です。これは葉の形状とは別に種子が果実に覆われているかどうか(裸子植物か被子植物か)という見分け方で分類されます。
ほとんどの樹木は葉の形で針葉樹か広葉樹に分類できるものの、例外もあることを覚えておいてください。

【広葉樹】

広葉樹は、主に葉が平べったい樹種の総称です。代表的な種類には、カエデ、ナラ、クヌギ、イチイ、ブナ、トチノキ、桜などがあります。秋になると葉を落とし、春に新しい葉をつけるものを、特に落葉広葉樹と呼びます。落葉広葉樹の特徴は、幅広い葉の形や色、花や実をつけることができることです。そのため、広葉樹は美しい景観を作り出す役割も持っています。照葉樹(常緑広葉樹)に比べると葉は薄めです。

広葉樹の木材は、比較的硬い・木目が美しい・色合いも多彩という様な特徴を持ち、家具や床材などによく使われます。しかし、広葉樹は生育期間が長く、育成に時間がかかり、さらに木の形状も均一ではないため板や柱に加工する難易度が高く、価格も高めになります。
広葉樹材の一枚板テーブルに100万円近い値が付くことあります。

カエデの木。落葉する広葉樹の仲間で、秋に葉が鮮やかに色づく。
カエデの葉。薄く光を通す。

広葉樹の種類と用途

広葉樹の代表的な材と用途には以下のようなものが挙げられます

日本には多様な広葉樹が自生しており、それぞれに独特の特徴と用途があります。以下にいくつかの代表的な広葉樹の種類とその使い道について説明します。

1. ケヤキ(欅)

  • 特徴: ケヤキは堅くて重い木材で知られ、年輪がはっきりして美しい木目を持つ。
  • 使い道: 高級家具、内装材、伝統工芸品、建築材料などに用いられる。

2. クリ(栗)

  • 特徴: クリは加工しやすく、耐久性があります。美しい木目と暖かみのある色合いが特徴。
  • 使い道: 家具、床材、内装材、工芸品などに使用される。

3. サクラ(桜)

  • 特徴: サクラの木は硬くて重く、粘りがあります。淡いピンク色の木肌が美しい。
  • 使い道: 家具、工芸品、建材、和太鼓の胴などに利用される。

4. コナラ(小楢)

  • 特徴: コナラは硬くて丈夫な木材で、耐久性が高いです。
  • 使い道: 家具、床材、内装材、または炭材としても使用される。ウイスキーを熟成させる樽の原料にも使用される。

5. カバノキ(樺の木)

  • 特徴: カバノキは比較的柔らかく、加工しやすい特性があります。
  • 使い道: 合板、家具、工芸品、パルプ原料などに使われる。

6. ブナ(ブナ科の木)

  • 特徴: ブナは滑らかな質感と均一な木目が特徴です。
  • 使い道: 家具、フローリング、内装材、楽器などに使われる。

これらの広葉樹は、それぞれ独自の特性を持ち、日本の建築、家具製作、工芸品など多岐にわたる分野で活用されています。日本固有の木材は、その美しさと品質の高さから、国内外で高く評価されています。

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【照葉樹】

照葉樹は、広葉樹の中でも温暖な気候に適応した樹種で、カシ、シイ、ツバキ、クスノキなどで、一般的に西日本の、中四国や九州などの温暖な地域に多く分布しています。落葉広葉樹と比べると葉が分厚いです。
照葉樹は常緑広葉樹と呼ばれ一年を通して緑の葉をつけていることが特徴ですが、落葉しないわけではなく、初夏6月ごろに落葉します。葉が青々としていても葉は更新されているのです

照葉樹は、材質が硬く、重いのが特徴です。そのため太い木材は高級な家具に使われます。
材質が硬い・密度が高いというのはそのまま成長が遅いというのと同義です。

また、材の密度が高いため燃やした際に火の持ちがよく、薪ストーブやアウトドアの薪に重宝されています。

タブノキの葉。照葉樹の名前の通り、葉がテカテカしているものが多く、初夏に落葉する

照葉樹の例

1. カシ(樫)アラカシ・シラカシなど

特徴:カシの木は非常に硬く、耐水性に優れています。心材は淡黄色、偏在は淡褐色で、年輪が明瞭で詰まっている。密度が高いです。

使い道:高級家具、床材、建築材、船舶建造などに用いられる。高級な薪として使用されます。また、木刀や、工芸品の材料にもなります。

2.タブノキ

特徴:高木になり、葉は若干丸みを帯びている
用途:樹皮はほのかに芳香がし、樹皮を乾燥させて粉末状にしたものはタブ粉と呼ばれ、水を加えると粘りが出ることから、線香の原料として重宝されていた。

3.ウバメガシ

特徴:成長が遅く、堅く重い木材になる。三重、和歌山、徳島、高知など太平洋沿岸の温暖な地域に分布する。比重が高いため水に沈む
用途:紀州備長炭、土佐備長炭といった備長炭の原木になる。比重が重いため高品質の炭になり、ウバメガシからできた備長炭は特に高級品として扱われる。

ウバメガシ林

4.ツバキ(椿) ヤブツバキ

特徴:木目や木肌が美しい。
用途:油や花の用途が目立ちますが、ツバキの炭は見た目がよく、かつては大名に献上されるほどの高級品でした。

雪をかぶったツバキの花

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【針葉樹】

針葉樹の代表的な種類には、マツ、スギ、ヒノキ、ツガ、トドマツ、カラマツなどがあります。針葉樹の特徴は、名前の通り針状の細長い葉をつけることです。葉が針状になっていることで、水分を蒸発させにくく、乾燥に強いという特徴があります。

針葉樹の木材は、比較的柔らかく、軽量であり、加工しやすいため、建築材料やパルプ原料などに利用されます。また、香りが良いものもあり、お香やアロマオイルの原料にも使われます

直根と呼ばれる真下に伸びる根を持つ種類が多く、地面を深く支える役割を担います。

スギ林。日本には戦後の拡大造林の時期に植樹された人工林がたくさんある。

針葉樹の代表的な種類

マツ 赤松・黒松など

特徴:色は淡黄色から黄褐色で、軽くて強度が高い。柔らかくてやわらかい木質を持ち、かけられることが多い。砂防林として海岸沿いに分布していることも多い
用途:建築材、板材、規格材、燃料、化粧合板、パルプ・紙原料などに用いられます。

マツ林

ヒノキ

特徴:材質はやわらかいが、香りが良く、湿気にも強い。加工性が良く、樹形や節の形が美しい。成長が比較的早く、谷筋など水気の多いところを好む。
用途:建築材、家具、風呂桶、内装材、造作材、漆器、刃物の柄などに用いられる。

ヒノキの葉。針葉樹とはいいながら、近くで見ると丸みを帯びている

スギ

特徴:日本の固有種。白っぽく淡褐色の木材で、軽い。細かい木目が美しい。成長が早く、戦後の拡大造林期に全国に植えられた。花粉症の主原因となっている。
用途:建築材、家具、内装材、造作材、化粧合板、合板材、パルプなどに用いられる。葉にはオイルが含まれているため、蒸留して杉精油として販売されている。また、焚き付けにも重宝される。

アスナロ(ヒバ)

特徴:白っぽい木質で、緻密で軽い。風合いが良く、細やかな木目が美しい。匂いが強く、防虫効果がある。東北など比較的冷涼な場所に分布する
用途:建築材、内装材、造作材、風呂桶、桶、木製玩具などに用いられる。

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日本を代表する固有種:杉

【木材の用途】

  1. 建築材 :木造住宅、公共建築物、商業施設などの建築物の骨組みや床、壁、天井、柱、梁などに使用される。
  2. 家具 :椅子、テーブル、棚、本棚、ドレッサー、ベッドなどに使用される。
  3. 包装材 :パレット、箱、クレート、紙袋、木箱などに使用される。
  4. パルプ :新聞紙、雑誌、書籍、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、紙皿、紙コップなどに使用される。
  5. エネルギー資源 :木質バイオマス、木質ペレット、木炭などに使用される。
  6. 工芸品 :置物、像、文房具、器などに使用される。
  7. 楽器 :ギター、ピアノ、バイオリン、木琴などに使用される。
  8. スポーツ用品 :野球のバット、ゴルフのクラブ、卓球のラケットなどに使用される。

まとめ

以上が、針葉樹と広葉樹の違いや、それぞれの特徴となります。

過疎化・少子化などで日本の林業は衰退真っ只中ですが、近年では、地球温暖化や生物多様性回復に対する関心の高まりから、CO2を吸収する・豊かな水資源を生み出す・災害を防止する・多様な生き物の棲家になるなど、ただの木材利用としてだけではなく、森・木としてのさまざまな価値が見直され、活用されはじめています。

参考情報 環境省:30by30

木や森の深い深い世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか!

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