ナラ枯れとは
ナラ枯れ(ブナ科樹木萎凋病)とは、カシノナガキクイムシをはじめとするキクイムシが持つナラ菌によって引き起こされるコナラ属を中心とするブナ科樹木に発生する病気である。
枯れる仕組み
カシノナガキクイムシが繁殖のためにナラ類の幹に侵入する際に、カシノナガキクイムシの持つナラ菌に樹木が感染する。樹木は、菌に対する防御反応として樹液を分泌する。しかし過剰免疫的に自分の樹液の流れも阻害してしまうため、枯れてしまう。
カシナガに侵入された木はしばらく枯れることはない。種類によりカシナガが侵入する深さに違いがあり、コナラは樹皮付近までしか侵入しないが、ウバメガシは幹全体に侵入することが多い。
日本のナラ類は萌芽更新力が強く、旧薪炭林においてはある程度の太さで伐採され、炭や薪として用いられていた。しかし燃料革命以後利用されなくなった薪炭林に大径木が多くなった結果、太い幹を好むカシナガの被害が全国的に増えている。
また、近年ナラ枯れの被害が拡大傾向にある原因として地球温暖化が挙げられる。2023年には北海道でも確認された様に、本来南の方に生息していたカシノナガキクイムシの生息範囲が拡大している。
中部地方以南に多く分布するカシなどの照葉樹はカシノナガキクイムシに侵入されても比較的耐性が強いが、中部地方以北に多く分布するミズナラなどの落葉広葉樹は照葉樹に比べて侵入への耐性が弱く、被害が可視化されやすくなっている。
カシナガに感染し、枯れた部分は虫に対する忌避感や見た目の悪さにより木材として利用しにくいことや、木炭へ加工する場合も高品質に加工しづらいこともあり、枯れる前に利用し、萌芽更新させていくことが重要である。
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