ミミズバイ(耳頭梅)とは?日本の山林で見られる常緑低木の特徴と用途を詳しく解説

木紹介

はじめに

ミミズバイ(蚯蚓灰、学名:Symplocos lucida)は、ハイノキ科ハイノキ属に属する常緑低木で、日本のなかでも、東海地方から沖縄地方の温暖な地域の山林や沿岸部でよく見られる植物です。

特徴的な小さな白い花と光沢のある緑色の葉が美しく、特に暖温帯から亜熱帯の地域に多く分布しています。その名前は、果実が耳朶(じだ)に似ていることに由来するとされています。本記事では、ミミズバイの特徴や用途、自然界での役割について詳しく解説します。

概要

ミミズバイは、主に日本の本州南部から九州、四国、沖縄に分布する常緑低木です。海岸沿いや山地に生育し、塩害にも強いため、海岸林や庭木としても利用されます。白い花の可憐さから、観賞価値も高い植物とされています。

ミミズバイの特徴

葉の特徴

ミミズバイの葉は楕円形で革質、光沢のある濃緑色が特徴です。縁には細かい鋸歯が見られます。

裏面:やや淡い緑色で無毛。

形状:長楕円形で、長さ3〜7cm程度。

表面:光沢があり濃緑色。

タイミンタチバナの葉とよく似ているが、ミミズバイの葉は、刃先が鋸刃のようになっているものが混じり、葉の裏が白く、葉脈がタイミンタチバナに比べて目立ちます。

花の特徴

春から初夏(4〜6月)にかけて、枝先に白い小さな花を咲かせます。花は密集して咲き、甘い香りを放つのが特徴です。

咲く場所:枝先に集まって咲きます。その年の若芽ではなく、前年の枝によく花がつきます。

花の大きさ:直径5〜8mm程度。

形状:5弁の白い花。

果実の特徴

秋になると、直径5〜8mm程度の黒紫色の果実をつけます。果実には光沢があり、熟すと野鳥の餌となります。

  • 形状:球状で(みみず)耳朶に似ている。
  • 色合い:黒紫色に熟す。

幹と樹皮の特徴

幹は灰褐色で滑らかな樹皮を持ちます。成木になると、浅い縦の割れ目が見られることがあります。

  • 樹高:3〜5メートル。
  • 幹の特徴:細く直立し、枝が多く広がる。

ミミズバイの用途

観賞用

ミミズバイはその美しい葉と白い花、黒紫色の果実が庭木や公園樹として人気があります。

  • 庭木:常緑性で管理がしやすく、庭に彩りを添える。
  • 生け垣:密生した枝葉が目隠しとしても役立つ。

温暖な地域の極相林

ミミズバイは東海以南の森林において、優先する樹種として知られ、シイ・ミミズバイ林などの分類がなされます。

ミミズバイならではの特徴ー伊勢神宮との関係

伊勢神宮ではミミズバイの葉を神饌の下敷きとして用います。その際の呼び名はミミズバイではなく、トクラベと呼ばれ、伊勢神宮境内にもミミズバイの木が生えています。

ミミズバイの葉を土器の上に敷き、その上に食物を置くことで食材が痛むのを防止したりしていたと考えられています。

おわりに

ミミズバイは、観賞価値の高い花や果実を持つだけでなく、お供えの彩として使われるなど、古くから私たちの生活の中に根付いていた存在と言えるでしょう。
実際に自然の中でミミズバイの花や果実を見かけた際には、先人がどのように活用していたか、思いを馳せてみてください。

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